INFORMATION司法書士の開業ノウハウ

2019.01.16

開業スタートアップナビ 19 ~採用コスト

職員の採用・雇用 その2 ~ コスト

前回は主に職員(補助者)を雇用するメリット=分業化による業務の効率化についてお話しました。
しかし、職員の雇用はメリットだけではありません。
経営者の視点で見ると、職員には給料を支払わなければなりませんので、給料=コストが発生するということになります。
ところで、雇用にかかるコストは給料だけでしょうか?
実は給料以外にも様々な負担(コスト)が発生します。
今回は雇用に際して発生する各種負担(コスト)についてのお話です。

 

1.労災保険

労働者を雇い入れる場合、労災保険に加入する必要があります。
労災保険は、仕事中や通勤中に怪我をした場合などに保障を受けられるものです。
人を雇い入れた場合、労災保険に加入する義務があります。
ただし、従業員が同居の親族の場合は原則として加入できません。
また、原則として経営者(個人事業主・法人の役員)も加入できません(例外として特別加入という制度があります)。
保険料は全額事業主負担です。
保険料率は業種によって異なりますが、司法書士事務所の場合は3/1,000(平成30年度)です。
つまり、労働者に支払った給料の総額×3/1,000を保険料として収めることになります。
例えば、パート1人を時給1,000円で1日4時間、週3日の条件で雇った場合、
給料の1年間の総額は、1,000円×4時間×3日×年52週=624,000円になりますので、
労災保険料は年間で、624,000円×3/1,000=1,872円となります。

 

2.雇用保険

一定の条件(下記①かつ②)を充たす場合、雇用保険への加入が義務付けられます。
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること → 月87時間が目安
②31日以上の雇用見込みがあること
雇用保険料はいわゆる失業保険等の財源になります。
正社員ではなく短時間のパートであっても(例えば1日5時間、週4日勤務)、雇用保険への加入が必須になる場合があります。
保険料は事業主と労働者の両方が負担します。

保険料率は業種によって異なりますが、司法書士事務所の場合は、事業主6/1,000、労働者3/1,000(平成30年度)です。
労働者負担分は毎月の給料から控除(天引き)する形で事業主が徴収し、年に1回事業主負担分と併せて労災保険料と一緒に納付することになります。
例えば、パート1人を時給1,000円で1日5時間、週4日の条件で雇った場合、
給料の1年間の総額は、1,000円×5時間×4日×年52週=1,040,000円になりますので、
雇用保険料の事業主負担分は年間で、1,040,000円×6/1,000=6,240円となります。

ちなみに、労災保険と雇用保険を併せて労働保険といいますが、労働保険料は概算保険料という形で先に支払い、毎年、前年度分の確定保険料と概算保険料との差額に翌年度分の概算保険料を併せて支払うという形を取っています。

 

3.社会保険(健康保険、厚生年金保険)

社会保険料の事業主負担分は半分です。
保険料率は厚生年金保険料率18.3%健康保険料率10%前後(都道府県によって異なります、全国健康保険協会の場合)となっており、負担の大きいものとなっています。
(40歳以上65歳未満の場合はさらに介護保険料(1.57%)も必要になります。)

例えば、月給20万円の職員を雇い入れる場合、事業主負担分は、20万円×12ヶ月×(18.3%+約10%)×1/2≒約34万円とかなりの負担になります。
(厳密には、標準報酬月額という概念をもとに計算しますし、都道府県の違いや介護保険の有無、子ども・子育て拠出金、計算方法による端数の誤差等あります。上記はあくまでも目安です。)

社会保険の加入義務については、まずそもそも社会保険に加入しなければならない事業所なのか?という問題と、個別の労働者が加入する必要があるか?という2つの問題があります。

①そもそも社会保険に加入しなければならない事業所なのか?

・法人の場合(司法書士法人の場合)
強制適用事業所となります。
経営者(社員)も加入することになります。

・個人事務所の場合
法人でない個人事務所の場合、任意適用事業所となります。
社会保険に加入してもしなくてもどちらでもかまいません。
ただし、社会保険に加入した場合でも、事業主は加入できません(国民年金と国民健康保険に加入することになります)。

②個別の労働者が加入する必要があるか?
所定労働時間と労働日数が正社員の3/4以上の場合には加入する必要があるとされています。
通常、正社員は週40時間勤務というところが多いと思いますので、おおむね週30時間(月130時間)以上勤務する労働者はパートや契約社員であっても社会保険に加入する必要があることになります。

 

4 定期健康診断

事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回定期健康診断を実施しなければいけないとされています。
病院によって診断料は異なると思いますが、最低限の項目の健康診断でも数千円はかかると思います。
職員の健康診断の費用も事業主が負担することになります。

 

以上ざっくりとではありますが、雇用の際の給料以外のコストについてご案内させていただきました。
細かい定義・条件はありますので、厳密には異なる箇所もございますが。大枠はご理解いただけたかと思います。
勤務時代・サラリーマン時代は「手取り少ないな~」と不満を言っていた方もいらっしゃるかもしれませんが、事業主は額面以上の負担をしていたということなんです。
そして、今後独立開業されて”経営者”になられる先生方にとっては、頭を悩ませる問題になってきます。
次回は、今回のお話を前提に、職員の採用・雇用のアレコレについてもう少しお話させていただければと思います。

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