司法書士は依頼人から「信頼」を得ることが何より大切な職業です。
ところが、近年のビジネスマナーは時代とともに変化しています。
昭和・平成の“常識”が、令和では「古い」「不自然」と感じられるケースも。
ここでは、司法書士が押さえておきたい令和流のマナーを紹介します。
1. 「形式」よりも「配慮」が重視される時代に
かつては、「正しい敬語」「スーツの着こなし」「名刺交換の手順」といった形式的なマナーが重視されていました。しかし令和では、形式に加えて「相手への思いやり」や「柔軟な対応力」が求められています。
たとえば――
・電話よりもメール・チャットを好む世代に合わせ、連絡手段を柔軟に選ぶ
・対面だけでなく、オンライン面談でも誠実さを伝える工夫をする
・忙しい依頼人に配慮し、短時間で要点を伝える
といった「相手目線のマナー」が信頼を左右します。
2. 敬語は「正確さ」より「伝わりやすさ」を
司法書士は法的文書を扱う専門職ですが、専門用語や硬すぎる言葉遣いは、一般の依頼人には理解されにくいことがあります。
令和のビジネスでは、「正しい言葉」より「伝わる言葉」が重視される傾向です。
例:
×「ご高配を賜りまして誠にありがとうございます。」
→ ○「ご対応いただき、誠にありがとうございます。」
専門性を保ちながらも、親しみやすく誤解のない表現を意識しましょう。
3. デジタルマナー(オンライン時代の礼儀)
オンライン会議やクラウド業務が日常化した今、デジタル上のマナーも不可欠です。
意識しておきたいポイントをまとめます。
・カメラオンの際は、背景を整える(バーチャル背景も活用)
・話す時はカメラ目線で、うなずきなどのリアクションを忘れない
・ウェブ会議では他者の音声や生活音が入らないよう気を付ける。また明るさで印象も変わってしまうので、暗くならないようカメラ映りに配慮する
・メールやチャットは「即レス文化」を意識し、24時間以内に返信
・ビジネスチャットツールでは要点をわかりやすく、簡潔に。レスポンスが遅れそうな場合には「〇時までに」「確認中です」などリアクションを返しておく
・添付ファイル名、フォルダ名は誰が見ても分かりやすく
オンラインでも誠実さや丁寧さは伝わります。
「画面越しでも信頼できる司法書士」であることが大切です。
4. SNS・ネット上での発信マナー
司法書士個人や事務所のSNS発信も増えていますが、ここにも注意が必要です。
・法律相談に関する「具体的な個別事例」は守秘義務に抵触するおそれ
・政治・宗教・批判的内容は控える
・プライベート投稿も「職業倫理」を損なわない表現に
SNSは便利な集客ツールでもありますが、発信ひとつで印象が大きく変わります。
「信頼される専門家」としての一線を守ることがポイントです。
5. 感謝とフィードバックの一言を忘れずに
デジタル化・効率化が進む一方で、令和のマナーで最も評価されるのが「人間味」です。
ちょっとした一言――
・「お忙しい中ありがとうございます」
・「本日もよろしくお願いいたします」
・「また何かあればお声がけください」
こうした“温度のある言葉”が、依頼人の安心につながります。
人に代替されない司法書士ほど、「丁寧な一言」を大切にしています。
まとめ
令和のビジネスマナーは、「正しい」より「伝わる」、「形式」より「配慮」が大切です。
司法書士という専門職だからこそ、誠実さ・柔軟さ・温かさを持つことで、依頼人や他士業からの信頼を得られます。
「人に信頼されること」が、司法書士にとって最大のブランド価値です。親しみやすい、気軽に相談される司法書士を目指して、地域に欠かせない存在となっていきましょう。
