1 司法書士が自宅開業するメリット・デメリット

1 自宅開業のメリット
通勤しなくて済む 自宅で開業する際の大きなメリットは、交通費、通勤時間をゼロにできることです。浮いた経費や時間を本業に充てることによって、仕事の質が向上します。 テナント料を削減できる 仕事が軌道に乗り次第、新たにテナントを借りて事務所を構える予定で、自宅を事務所にする方も少なくありません。自宅で開業する場合は、揃える備品も少なく済み、何よりテナント料がかかりません。浮いた経費を今後の事務所拡大の資金として貯蓄することができます。 家事・育児・介護等を両立しやすい 自宅で仕事ができる分、比較的、家事や育児・介護の時間がとりやすいこともメリットとしてあげられます。仕事と両立するのは大変ですが、自宅開業では、労働時間をセーブすることも可能なため、テナントを構えるより、時間と労力を確保できます。また、子どもや被介護者の近くで仕事をすることによって、緊急のときにすぐに対応できるという安心感を得られます。2 自宅開業のデメリット
新規顧客の信頼を得難い まだ知名度が高くない司法書士の事務所がテナントでない場合、初めて依頼するお客さんにとっては入りづらいものです。自宅開業において新規顧客から警戒されるのは、司法書士に限らず一般的なことです。HP作成をプロに依頼し、安心や信頼を得られるようにする、既存の顧客に口コミを広めてもらう等の対策が必要となります。 仕事とプライベートのバランスが取りづらい 司法書士は、常に人と関わる仕事であるため、仕事とプライベートの境界線があいまいになります。それに加えて自宅開業となると、オンとオフの切り替えが困難になるかもしれません。また、お客さんに住所を知られているのは、男女問わずリスクを伴います。顧客との距離感の取り方にも注意が必要となります。 セキュリティが低い 司法書士の仕事は、重要な書類を多く扱います。パソコンから情報が漏洩することや、書類を紛失すれば、取引先の信用を失い、損害賠償を請求されてしまいます。自宅で開業するに際して、セキュリティ面が万全でないことは、大きなデメリットとなります。3 自宅開業に向いている方
自宅開業に向いている方は、「気分転換が得意」「タスク管理が優れている」「営業能力に自信がある」方です。 気分転換が得意 自宅開業は、プライベートの空間で多くの時間を他人と過ごさなければなりません。司法書士という仕事柄、外回りもありますが、1日を通して自宅で仕事をしなければならない日もあります。すき間時間で、気分転換をし、オンとオフの切り替えを即座に行うことができれば、必要以上にストレスを溜めこむリスクを防げます。 タスク管理が優れている 自宅で仕事をする際、どうしても気が緩んでしまいがちです。そこで、「タスク管理」は重要となります。司法書士は1日の業務スケジュールがその日によって異なります。顧客とのアポイントメントをしっかり守り、効率良く仕事を遂行する必要があります。スケジュール帳と並行してタスク管理が行えるアプリを活用することもおすすめです。 営業能力に自信がある 自宅開業するに際して、「優れた営業能力」は不可欠です。独立した司法書士は、誰もが営業能力を求められますが、自宅で開業する場合は、より一層の努力が必要となります。自宅開業は、地域にもよりますが、社会的な信用を得ることが困難な場合があるからです。例として、ローンやカードの契約、新規顧客獲得、近所づきあいがあげられます。積極的な営業活動を行って、信頼を得ていかなければなりません。 これらの3つの強みを持っている方は、自宅開業に向いているといえます。自宅開業だけでなく、テナントを借りた場合も、最初から順調なわけではありません。ひとつひとつの仕事を確実に遂行し、信頼を得ていきましょう。2 自宅開業する際にチェックするポイント

1 同居人の名義
親や配偶者と同居している場合は、「名義の確認」が必要です。その家の名義人が、自宅開業して事務所となる建物に居住していることがポイントになります。「家族名義」は様々な形が存在するため、一度名義を確かめておきましょう。2 物件の構造
居住スペースと仕事スペースが分けられていると生活感が伝わらず、依頼者に気をつかわせません。足の不自由な方やご高齢の方への配慮として1階に接客スペース、マンションの場合は1階でなければエレベーターがある建物が望ましいでしょう。外観は、ある程度きれいな建物の方が、印象が良いでしょう。もし戸建ての場合は植栽などにも配慮すると印象が変わってきます。3 アクセスの良さ
自宅開業するに際して、「駅チカ」「バス停の近く」は強みになります。また、郵便局の本局があると、司法書士の仕事をする上で便利です。しかし、どうしてもアクセスの良さが見込めない場合は、HPやチラシに分かりやすい地図・道案内を載せましょう。4 場合によっては、新たな物件を借りる必要がある
自宅が賃貸物件の場合は、1室を事務所にして良いか、事前に貸主や管理会社に確認する必要があります。無断で事務所として開業してしまうと、契約違反となり、退去を求められる可能性があるからです。また、後から事務所として契約をすると、追加で費用が発生してしまうため、注意が必要です。そのような場合は、自宅開業が可能な物件を新たに借りることも検討しましょう。3 開業する前に準備すること
