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独立開業するときに司法書士法人を設立するのはあり?司法書士法人について詳しく解説

インターネットで司法書士を検索すると、「司法書士法人」を名乗る事務所がたくさん出てきます。この司法書士法人は、比較的最近、司法改革の中で認められた法人形態だということをご存じない人が多いかもしれません。司法書士法人とは何か、独立する前に司法書士法人で働くことにどのようなメリットがあるのか、独立開業後、どのタイミングで司法書士法人を設立すれば良いのかについて解説します。

1 司法書士法人とは

司法書士法人の設置根拠は司法書士法に求められます。この点、設置根拠が会社法に求められる株式会社や合同会社とは違います。法律の違いにより、司法書士法人と会社にはいくつか異なる部分がありますが、個人事業主と比べてより集団的でルールに基づいて経営されること、法人として課税されるので所得が大きくなると有利になる点は共通しています。

1 司法書士法人が認められた経緯

司法書士法人はそれほど古くから認められていたわけではありません。司法書士法人は、2000年ころから始まる司法制度改革が進む中で認められました。司法制度改革は、事前規制・調整型の社会を事後チェック・救済型の社会に変えることを目的としています。司法制度改革の3本柱として、国民の司法参加、司法制度を支える法曹のあり方の改革、国民の期待に答える法制度の構築が目指され、裁判員制度や、法テラスなどさまざまな制度、機関が創設されました。そうした流れの中で、2002年に司法書士法が大幅に改正され、司法書士が簡易裁判所で代理をできるようになり、司法書士法人を設立できるようになりました。

2 司法書士法人は1人でも設立できる

令和2(2020)年8月1日司法書士法改正により、一人であっても司法書士法人を設立することが可能になりました。

3 司法書士法人は登記しなければならない

司法書士法人は主たる事務所の所在地において設立の登記をすることによって成立します。通常の司法書士事務所を開設するときには登記が不要です。なお、司法書士法人を設立するときには登録免許税がかかりません。

4 司法書士法人のほうが信頼されやすい?

難しい試験をパスして資格を取得した司法書士は、能力についてはそれだけで信用してもらえると考えてよいでしょう。資格があるので、一般の会社と比べて、個人事業主と法人の差は少ないと言えるでしょう。しかし、都市部で個人の司法書士事務所が司法書士法人と競争することには難しい面もあります。インターネットで検索した顧客は、多数の司法書士が在籍していてサービスも充実している司法書士法人を選びたくなるかもしれません。

5 司法書士法人は税金面で有利?

個人事業として経営される司法書士事務所と、法人として経営される司法書士法人とでは適用される税制が違います。課税対象と税率が異なるために、明確な比較が難しい面もありますが、全体としてみれば、所得が少ない場合は個人事業主が有利であり、所得が多い場合は司法書士法人が有利です。個人事業主に課される所得税と、司法書士法人に課される法人税の税率を単純に比較した場合、一部の例外を除いて、所得が300万円強より増えると司法書士法人が有利になります。

6 司法書士法人は力強い

司法書士法人の強さの秘密は、組織的な行動力にあります。大規模な司法書士法人は、分業体制を築くことで、業務を効率化、広範化するとともに、営業力も強化することができます。規模のメリットを追求する司法書士法人は、設立を認められて以来、都市部で急速に増加しています。

2 司法書士法人で修行する

多くの人は司法書士試験に合格したあとすぐに開業するのではなく、数年間、司法書士法人や、司法書士事務所で勤務します。試験のための勉強や、その後の研修だけでは、するに開業できるだけの実務能力が身についていないので、修行するために勤めているのです。働く場所としての司法書士法人について考えてみましょう。

1 司法書士法人ではいろいろな仕事を経験できる

司法書士法人は、法人として多数の仕事を受注していることや、その中には難しい案件もあることにより、司法書士の修行先として望ましいと言えます。司法書士が扱うことができる業務にはさまざまな種類があります。しかし、個人事務所の場合、仕事が狭い範囲に偏っていることも多く、修行のためにさまざまな仕事を経験したい人にとっては物足りない部分があるかもしれません。

2 司法書士法人では人脈を広げやすい

司法書士法人では多くの人々が働いています。また司法書士法人のほうが出入りする人々も多いでしょう。司法書士法人で働くということは、多くの人々と接する中で人間として成長することでもあります。尊敬する上司や、楽しく仕事をする職場の仲間、そして取引先の人々は、いずれ自分が独立するときには、力強い味方になってくれます。

3 独立開業をバックアップしてくれる司法書士法人もある

司法書士の有資格者に対する求人をみると、将来の独立開業をバックアップしてくれる司法書士法人があることに気づくでしょう。組織の一員でありながら、個人として事件を受任できたり、独立するのか、そのまま昇進していくのかなどの、キャリアプランの相談に応じたり、個人としての事件が増えたので独立に向けて法人の仕事を減らしたいといった要望に応じたりと、さまざまな方法で独立開業をバックアップしてくれる司法書士法人があります。

3 司法書士法人を設立する

司法書士として独立するときに司法書士法人を設立することは可能です。もし、はじめは売上がそれほどないと考えるのであれば、個人の事務所を開設したほうが節税になります。多くの司法書士は、はじめに個人事務所を開設して、売上が大きくなった段階で司法書士法人に移行しています。

1 司法書士法人と司法書士の数

司法書士法人の設立を具体的に考える前に、司法書士法人と司法書士が全国でどのように分散しているのかをご紹介します。司法書士法人と司法書士は、ともに都市部に集中しています。司法書士法人はとくに都市部への集中の度合いが強く、最近2023年01月05日 現在の統計では東京都303、大阪府140、愛知県77、神奈川県66のように都市部、その中でも東京に集中する傾向が顕著です。規模のメリットを追求する司法書士法人が都市部に集中するのは当然のことと言えるでしょう。

2 独立開業時に司法書士法人を設立するのはあり?

独立開業するときに司法書士法人を設立することはありえる選択肢です。普通の企業では、数多くの人々が、個人事業主を経験することなく株式会社を設立しています。司法書士法人を設立することも、仕組みとしては同じことです。しかし、司法書士法人を設立するためには2人以上の司法書士が必要です。また、司法書士法人が節税になるのは一定以上の収入がある場合に限られます。

3 業務を拡大するときに司法書士法人を設立する

多くの司法書士は、はじめは個人事務所として開業して、その後事業の規模が大きくなった段階で事務所を法人化しています。はじめは売上も少ないので、個人事務所のほうが合理的です。売上が大きくなってから司法書士法人に移行すれば、節税効果を最大化できます。志の高い司法書士は、将来の法人化を念頭に置きつつ、個人とての司法書士事務所を開設しています。

4 まとめ

司法書士法人は、2000年以後の司法改革のなかで認められた法人形態です。司法書士法人は会社ではないのですが、組織力を引き出すために設立される点は同じです。司法書士の資格を取得した後の修行先として、司法書士法人には、案件数が多く、案件の種類が豊富で、たくさんの人に接することができるメリットがあります。独立開業するときに司法書士法人を設立しても良いのですが、独立した当初は売上があまりないことを考えると、個人事業主として事務所を開設して、売上が大きくなってから司法書士法人に移行するのが合理的と言えるでしょう。

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