司法書士の業務は、法律知識や手続きの正確さだけでは成り立ちません。
依頼者の多くは「初めての登記」「相続で不安」「何を聞いたらいいかわからない」という心理状態にあり、プロの対応ひとつで印象が大きく変わります。
司法書士が知っておきたい顧客心理を理解した営業術を体系的に解説します。
1. 司法書士に相談する顧客は“心理的に不安”である
法律手続きは専門性が高く、顧客は「間違ってはいけない」という強い不安を抱えがちです。
特に下記のような心理状態がよく見られます。
損したくない心理 → 費用が適正か不安
理解できない不安 → 専門用語が難しくついていけない
相談していいか迷う心理 → 自分の相談内容が場違いではないか
人を選びたい心理 → 信頼できる人に任せたい
この「顧客の心理的ハードル」を理解するだけで、説明の方法や対応の仕方が大きく変わります。
2. 顧客心理に応じた“3つの営業アプローチ”
情報の透明化で「損したくない心理」を取り除く
お客様は知らないことをとても不安に感じます。費用、流れ、必要書類を最初に明確にすることで、「想定外の追加があるかもしれない」という不信感を払拭できます。
初回見積もりをわかりやすい表示形式で提示
想定される追加費用の可能性を最初に説明しておきます。最初に多めに見積もった想定額を提示することで、最終的にかかる費用に関しての不安や最終価格の提示もしやすくなります。
手続きの流れを図解(簡易フローチャート)で提示
最初はつくるのを手間に感じるかもしれませんが、一度つくれば手直しをしてメンテナンスしていくことでさらにわかりやすいものができあがります。言葉だけの説明より視覚的にもお客様の理解が進みますし、フローチャートがあることで手順を踏んで申請を進める心づもりができます。
透明性は最強の営業力です。説明が多すぎると逆に理解が進まないことにもつながりかねないので、図解や資料などをうまく使います。
専門用語を“翻訳”して「理解できない不安」を消す
顧客が不安になるのは、理解できないから。司法書士が意識すべきは「専門用語の翻訳力」です。
例:「相続人が複数いるので、遺産分割協議が必要です」
→「相続人みんなで“何をどのように分けるのか”を決める話し合いが必要です」
例:「会社の役員変更登記が未了です」
→「役員が変わったのに、法務局への届け出がまだになっています」
顧客が“理解できた”と感じる瞬間に、信頼と安心が生まれます。
傾聴と共感で「相談していいか迷う心理」をやわらげる
不安を抱える顧客は、まず「話を聞いてもらえている」という実感を求めています。そのためのコツをお伝えします。
・相手の言葉を繰り返す(ミラーリング)
・「そうだったんですね」「心配されますよね」と共感表現を入れる
・話すペースを相手のスピードにあわせる
・話の途中で否定しない、さえぎらない。相手の話を最後まで聞きましょう。
司法書士は“説明する”よりも、“聞く”ほうが営業効果が高いケースが多いのです。
3. 人は「人」で選ぶ 営業は信頼関係づくりそのもの
司法書士は商品ではなく“人”。
だからこそ、「この先生なら任せたい」という安心感が最大の営業力になります。
信頼を生む要素として以下を意識しておきましょう。
・話しやすさ
・誠実な態度
・丁寧で一貫した説明
・メールや電話のレスポンスの速さ
・表情や声のトーン
・事務所スタッフの接し方(あいさつ、笑顔、声掛け、案内など)
これらはすべて、顧客心理に影響します。
“技術があるだけの司法書士”より、“安心を提供できる司法書士”が選ばれるのはそのためです。
4. 司法書士が今日からできる営業テクニック5選
最初の2分で「流れ」を示す→ 手続きの全体像を示すと、顧客の不安が一気に減る。
説明は必ず例え話をセットにする→ 専門性が高い話ほど例え話で理解が進む。
スケジュールや時間の目安も必ず伝える→ 「いつ終わりますか?」は顧客の最大の関心。
相談後のフォローを即日行う→ メール1本で信頼度が劇的に上がる。
資料は必ず“まとめ版”と“詳細版”を用意→ 顧客の理解レベルに合わせて説明の深さを調整できる。
5. 営業は「押す」ではなく「整える」こと
司法書士の営業とは、顧客を説得することではなく、安心して依頼できる環境を整えることです。
心理的ハードルが下がり、理解が進み、信頼が生まれる。この3段階がそろえば、紹介や口コミは徐々に増え自然と案件は増えていきます。
まとめ
司法書士が営業で成果を出す最大のポイントは、顧客心理を理解し、不安を減らし、安心を提供することです。
丁寧な説明、透明性のある情報提供、信頼形成のコミュニケーション。
これらを一つずつ積み重ねることで、「説明がわかりやすい先生」「相談しやすい事務所」と評価され、
結果的に紹介やリピートが増えていきます。
