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司法書士事務所の開業当初は何を考えておくべき?ポイントや必要な準備を解説

司法書士の資格を取得した人や、資格取得に向けて勉強中の人の中には、将来司法書士として独立・開業を考えている人も多いのではないでしょうか?事務所の経営のイメージを固め、必要な準備を整えてから具体的な開業作業に入りましょう。司法書士の開業準備や開業当初に起こることを、体験談とともにご紹介します。

1 司法書士が開業する前にやっておくべきこと

司法書士は合格後数年間、司法書士事務所に勤務して実務経験を積むとともに、開業戦略を練り、人脈づくりに取り組むのが一般的です。司法書士試験に合格してから開業作業に入るまでの準備期間にやるべきことについて解説します。

1 司法書士試験合格直後の開業は可能か?

開業についてよくある質問の1つに、「司法書士試験合格後すぐに開業することは可能か?」というのがあります。試験合格直後の開業は可能であり、多くの成功例もあります。成功例を見ると、合格する前に会社員として積んだビジネス経験を役立てたケースや、経験が少ないまま開業した後で、旺盛なバイタリティーと積極的な姿勢で問題をクリアしていったケースが見られます。

2 地方開業がねらい目

司法書士事務所の経営環境は都市部と地方で大きく違います。都市部は仕事と司法書士の数がともに多く、地方はその反対です。都市部では大手司法書士事務所の力が強く、対抗するのは容易ではありません。地方では人脈をつかむことが、経営が成り立たせるカギとなります。地方の地域によっては司法書士がいない場合や、司法書士が高齢で次の担い手がいない地域もありますし、資金的な開業支援がある過疎地もあります。

3 人的ネットワークを作る

開業体験者の多くが人脈の重要性を指摘しています。司法書士事務所を成り立たせるためには継続的に新規顧客を獲得しなければなりません。顧客を獲得する方法は、広告・宣伝もありますが、顧客からの紹介以外や、隣接士業、不動産業者、地域の人脈からの紹介も重要です。積極的にさまざまな会合に参加し、人脈を作りましょう。合格後の研修などの機会を利用して、先輩や同期との人脈を作っておくと、経営に関する相談に乗ってもらうことができます。

4 開業資金をためる

司法書士は少ない資金で開業できます。最低限の準備のみで自宅開業するのであれば、30万円くらいで開業できます。開業するときに忘れてならないのは、当面の生活資金です。開業後半年くらいはほとんど収入がないかもしれません。開業後2年くらいで軌道に乗せるようなプランで計画することが大切です。自分で貯めたお金だけでは資金が足りないときは融資を検討します。日本政策金融公庫や地域の信用保証協会が有利な融資を提供しています。

5 ブログやホームページのスキルを身につける

あらゆる情報がインターネットに掲載される今日、ホームページを確認してから事務所を訪れる顧客も多いでしょう。顧客の信用を獲得するためにも、ホームページに一定の情報を掲載することをおすすめします。ホームページを外注すると30万~50万円かかります。自分でできるのであればコストを削減できます。

2 司法書士事務所の開業当初に必要な準備

ここからは、開業当初に必要な作業についてご紹介します。開始から半年くらいで開業するスピード感を持ちましょう。経営理念や事業理念を定めることで、事務所の経営を具体的にイメージできるようになります。スケジュールを定めて段取り良く準備することが重要です。

1 半年くらいで開業する

開業する際は多くの作業を短期間に集中して行う必要があります。このとき、作業完了までの期限を区切ることを忘れないようにしましょう。期限がないとつい無駄に時間を費やしてしまいがちです。半年で事務所を開業するようなスピード感が理想的です。

2 経営理念・事業理念を定める

経営理念・事業理念とは、「司法書士事務所の経営を通じて何を実現したいのか、社会に対してどのような貢献をしたいのか」ということです。こうした理念を明確化することで開業後のイメージが定まり、開業後に意思決定を行う際の軸が決まります。ホームページに理念を掲げることで、事務所の方向性や特色が伝わりやすくなります。

3 事業計画を立てる

経営はさまざまな要素を組み合わせる複雑な作業です。経営の中でも開業前後の作業はとくに複雑です。計画的に事を進めなければ、思わぬ見落としに足元をすくわれます。事業計画を立て、いつまでに、どのように経営を軌道に乗せるのかを明確化してから、計画を実現するために必要な資金をどう工面するのかを考えましょう。融資を受ける場合、事業計画の策定は必須ですが、そうでなくとも必ず事業計画書を作りましょう。

3 司法書士事務所の開業体験談―開業前後を中心に

司法書士を開業するとさまざまなトラブルが起こるものです。どれほど入念に準備したとしても実際の事務所経営が始まってから予想外の事態が起こることは避けられないと言えます。司法書士事務所を開業した後は、当初の事業計画通り経営を進めていくとともに、不測の事態に対して柔軟に対応し、必要によっては事業計画を見直すことも必要です。

ここからは、開業前後に起こったことを中心に、司法書士事務所の開業事例をご紹介します。事例からは、開業当初は仕事が少ないけれど、地域や業界の人々と地道に交流を重ねているうちに少しずつ紹介の輪が広がり、次第に経営が安定していく様子が見えてきます。

1 九州地方で開業された司法書士の事例

高校卒業後サラリーマンとして2つの会社で働き、その間司法書士の資格を取得後、研修を経て独立しました。不動産会社で働いているときに司法書士の職業を知り、4年半ほど勉強して合格しました。不動産会社の経験から司法書士の仕事を理解していたので、開業してやっていける見込みは立っていました。

開業当初は資金も仕事もなかったので顧客を増やすのに苦労しました。最初の顧客は知り合いからの紹介でした。その後も紹介が新規顧客獲得のメインです。ホームページもありますが、そこから来る新規顧客は全体の10%未満です。

2 四国地方で開業された司法書士の事例

大学卒業後一般企業に就職しましたが、出張が多く家族と一緒にいられる時間が取れなかったので、地元でできる仕事を探しました。サラリーマンは転勤・出張があり、飲食業は初期費用が掛かるため、開業費用があまりかからない司法書士を選択しました。会社員を辞め、塾講師の仕事をしながら勉強して3年間で資格を取得しました。

勤務司法書士の経験を経ずに独立した当初は、近くの個人商店に看板を置かせてもらう、町内会の回覧板に広告などを乗せてらう、友人が勤める会社に挨拶に行く、飲み会に呼んでもらうなど、地道な活動に取り組みました。その結果、紹介を通じて少しずつ仕事が広がりました。

3 中部地方で開業された司法書士の事例

東京の大学に進学しましたが、新聞奨学生として苦労した経験から、資格を取得して将来に備えたいと考え、司法書士の資格を取りました。2つの司法書士事務所に勤務して自信をつけてから地元で開業しました。

開業当初は仕事がありませんでした。不安になりましたが、周りの人たちの支えもあり次第に仕事が増えていきました。消防団や商工会に入り地域の活動に積極的に参加するうち、つながりの中から顧客を紹介してもらい、その顧客に新しい顧客を紹介してもらうといった形で顧客が増えていきました。また、同期の司法書士と仲良くしていて、結婚式に呼ばれたり来てもらったりするような交流もあります。同期との司法書士とつながりがあると、わからないときに相談に乗ってもらえるので助かります。

4 まとめ

今回は司法書士の開業について、開業前の準備や開業当初の作業、開業体験をご紹介しました。開業には計画性、準備、人脈作りが重要です。体験者の話からは、楽天的に物事をとらえ、積極的に試行錯誤して取り組む姿勢の重要性が見えてきました。この記事を参考に、開業を前向きに進めていってくださいね。

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