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司法書士は開業した方が儲かるのか? 年収とその実態をご紹介!

身近な「街の法律家」といわれる司法書士。この記事では、勤務司法書士と開業司法書士の比較、年収や実態についてまとめました。

1 司法書士とは?

司法書士は、顧客の依頼を受けた法務局や裁判所、検察庁に提出する書類の作成や登記手続、成年後見業務等を主な仕事としています。2020 年 6 月 6 日、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年法律第 29 号)が成立し(同月 12 日公布)、その第 1 条において「司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与する」ことが司法書士の使命とされました。登記を通じて、法的なトラブルを防ぎます。身近な法律問題である金銭消費貸借・不動産売買・不動産貸借等の解決に優れています。ここでは、司法書士に関する基礎情報をご紹介します。

1 給料・年収

「司法書士白書 2020年版」を参考にすると、開業司法書士の平均年収は、男女ともに400~600万円程度です。経営者以外の司法書士は「300〜400 万円未満」が最も回答が多くありました。しかし、司法書士の給与・年収は、勤務・開業にかかわらず、地域や事務所の規模によるため個人差があります。従って、開業司法書士の中には、1,000万円以上の年収の人もいます。

2 司法書士のなり方と資格取得の難易度

司法書士になるためには、国家試験である司法書士試験に合格しなければなりません。試験は年齢、学歴を問わず、誰でも受験できます。しかし、試験は高度な専門知識が求められ、法律系の資格の中でも弁護士に次いで難しく、2018年度の合格率はわずか3.5%でした。この難関を突破するためには、大学の法学系学部に進学する、法律の専門学校に通う、司法書士事務所のアシスタントをする、等の対策が必要です。

3 雇用の現状と将来性

司法書士は、1993~2001年は年間50名ほどの増加でしたが、最近では毎年300名近い増加、平成31年度は22,632人ととなっています。その影響から、合格しても就職先に困る人や、開業しても競争に苦戦する人が出てきています。また、司法書士の主な仕事である「登記」に対して専門性が下がったことも、厳しい現状の一因です。近年は、インターネット上に登記の申請書のひな型が掲載され、法務局も書き方をサポートしてくれます。従って、司法書士に代理業務を依頼しなくて済むようになりました。これらの要因から、司法書士の将来性は厳しいと予想されるため、新しい事務所形態・提案型業務等の、柔軟な対応を行うことが求められます。

4 弁護士との違い

司法書士と弁護士の違いは、「扱える法務業務の範囲」です。司法書士は法律で定められた範囲・分野のみを扱いますが、弁護士は法律業務すべてに対応しています。司法書士は、主に登記・供託を扱う資格です。

5 やりがい

司法書士として活躍する上で感じられるやりがいは、2点あります。1つめは、「専門性の高い仕事ができる」点です。難関試験に合格したからこそ、煩雑な法務手続きを扱えるため、誰にでもできる仕事ではないというプライドが持てます。2つめは、「困っている人のサポートができる」点です。問題を抱えた顧客の力になることによって、解決した際に充実感を得られます。平成31年度の統計では会員の年齢層が「41-45歳」の次に「66-70歳」が多いことから定年を気にせず、長く続けられるということも加えていいかもしれません。

2 勤務と開業どちらがいいのか?

1 勤務司法書士

勤務司法書士は、「司法書士法人」や「個人事務所」に属した上で、司法書士として活動します。近年は、司法書士法人だけでなく、個人事務所の社会保険加入も増加し、労働環境が整っています。勤務司法書士は、仕事が安定して入ってくる可能性が高いため、「安定志向」の人に向いています。

2 開業司法書士

司法書士として開業する際には、最低3年は経験を積むことが推奨されていますが、中には、勤務期間1年未満で独立する人もいます。独立開業に必要なことは、「行動力」です。勤務司法書士と異なり、仕事が常時ある保証はないため、独立には勇気が入ります。しかし、事務所の経営が軌道に乗れば、収入の増加に繋がるため、「上昇志向」の人に向いています。

3 年収1,000万や2,000万は本当に可能なのか?

開業司法書士の場合、年収1,000万円や2,000万円を超えることが可能です。開業当初は、一般企業よりも収入が低くなる可能性も小さくありません。徐々に経験を積み、有力なコネクションを増やし、営業力を強化することによって、紹介を広げていくことで高収入を実現できるでしょう。

4 実際に司法書士として働く人の本音は?

勤務・開業どちらにもメリットがあります。事務所の方針によって労働環境や所得は大きく左右されます。ここでは、実際に司法書士として働く人の本音をご紹介します。

・「開業して9年のAさん」
積極的に営業しなければ、年収は500万円を超えることはなく、運転資金や税金を引くと、実際の手取りは月10~30万円程が現状です。ボーナスはなく、平均年収は250万円程度です。独立するメリットは、上司がいないため気を遣う必要がない点です。

・「大規模法人勤務のBさん」
主な仕事は、大手不動産会社関係の不動産登記手続・相続登記・商業登記です。繁忙期以外は定時退社が当たり前となっており、遅くても19時には退社します。給料やボーナスは、一般の中堅企業と同程度にもらえます。

・「司法書士歴8年、開業歴5年のCさん」
報酬部分の年収は2,400万円、人件費や賃貸料等の経費が1,200万円かかり、最終的に入ってくる所得は1,200万円です。前職は営業職をしており、司法書士として年収を上げるためには、コミュニケーション能力と経営能力が重要であることを実感しています。

3 開業のためにやるべきこと

1 開業費用の平均額

司法書士は、資格と経験さえあれば、必要最低限の備品と場所があれば開業できます。一般的に必要とされる開業費用は50~150万円程度となります。中には、30万円で開業した人もいます。内訳は、プリンターに約2万円、司法書士登録費用に約10万円、事務用品に約8万円、ホームページに約10万円です。自宅で開業し、元々持っている備品を活用することによって、開業資金を最小限に抑えることができます。

2 オフィスの構え方と立地を決める

オフィスの構え方として、「自宅」と「テナント」があります。自宅の場合、通勤が不要になることに加えて、テナント料がかかりません。自宅で開業して、軌道に乗ったらテナントに切り替えることも1つの方法です。次に、開業するにあたって、立地は非常に重要です。銀行や不動産会社が集中し、アクセスが便利な「駅前や繁華街」は、営業に有利です。しかし、家賃やテナント料が高額なため、運転資金を多く見積もる必要があります。開業時の予算に合わせて、オフィスの構え方と立地を決めましょう。

3 開業に必要なもの

開業に最低限必要なものは、オフィス用品(デスク、イス、来客用テーブル)、通信機器(ビジネスホン)、パソコン、外付けハードディスク、ドットプリンタ、司法書士業務ソフト、文房具です。司法書士は膨大な情報量を扱うため、データを確実に保存できるように、外付けハードディスクは必ず用意しましょう。

4 年収を上げるためにできることをやっておく

立地や地域事情を事前に調査し、その土地に特化した開業スタイルを築いておきましょう。例をあげると、競争相手が多い地域では、特定の専門分野に特化する、過疎地域では、幅広い分野の業務を受けられるようにする、等です。また、ハウスメーカーや金融機関、不動産会社とのコネクションを作り、人脈を広げておきましょう。

4 廃業するケースもある

晴れて独立開業した後、廃業となってしまう事務所は少なくありません。ここでは、廃業の原因と、万が一のときの転職先となりうる職種をご紹介します。

1 廃業の原因

事務所が廃業となってしまう原因は、「資金繰りの悪化」です。司法書士には、「実務の遂行能力」と「新規顧客開拓のための営業力」が不可欠です。実力が十分に備わっていないにもかかわらず開業を急いでしまった場合や、営業の努力を怠れば、売上は伸びません。その結果、経営不振に陥り、廃業せざるを得なくなるケースは少なくありません。

2 廃業後の転職先

司法書士は独立に失敗した後、他の事務所に再就職することはできません。一度でも「所長」となった人を雇いたい人は少ないためです。しかし、企業の一般事務や営業事務であれば、司法書士の業務で培った書類作成や書類チェックのスキルが活かせます。書類の正確さを求められる仕事であれば、即戦力になれるため、転職先として有力です。

5 まとめ

いかがでしたか。ここまで、司法書士の年収や実態についてご紹介しました。年収には個人差があり、開業する際には廃業のリスクもあることが伝わりましたでしょうか。開業は、入念に準備を行い、自身の強味や開業場所の競合やニーズ調査、人脈など考慮しながら、タイミングに注意しましょう。

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