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独立司法書士の現実とは?平均年収や将来性について解説!

独立司法書士は、どのように働き、生活しているのでしょうか。できるだけ最新の正確な統計を使って、独立司法書士の現実をご紹介します。

1 司法書士の年収と現実

司法くんお役立ちコラム

司法書士が置かれている状況は、勤務しているか独立しているかで大きく異なります。最初に勤務司法書士の状況をみてから、最新の統計をもとに、独立司法書士が置かれている現実について詳しく解説します。

1 勤務司法書士と独立司法書士

司法書士は働く立場に応じて2つの名前で呼ばれます。司法書士事務所や司法書士法人に雇われて働く司法書士は「勤務司法書士」と呼ばれます。自分で司法書士事務所や司法書士法人を経営する司法書士は「独立司法書士」と呼ばれます。「独立司法書士」は「開業司法書士」と呼ばれることもあります。

2 勤務司法書士の年収と仕事

勤務司法書士の年収は高くありません。これは、多くの司法書士が、司法書士試験に合格した後に、修行として数年間勤務することによるものです。勤務司法書士の多くはその後独立しますが、独立への適性や安定性を考慮して、独立しない勤務司法書士も存在します。

① 勤務司法書士の年収
勤務司法書士の年収について、公的な統計は存在しません。一般的には、勤務司法書士の平均年収は400万円程度といわれています。勤務司法書士は、年齢に関係なく一定の初任給から始まり、業務範囲が広くなることで昇給していきます。この昇給の仕組みと、独立して早く退職する勤務司法書士が多いことが、士業といえども400万円という一般サラリーマンとあまり変わらない年収になる理由です。

② 独立する準備としての勤務司法書士
多くの司法書士は、試験に合格した後に数年間の勤務司法書士を経験してから独立します。勤務司法書士の期間は、お金を稼ぎながら実務を覚え、将来の独立に備えて準備する期間です。独立するための準備として、自分の事務所のイメージを明確化して事業を計画し、お金を貯め、広い人脈をつくりましょう。

③ 生涯勤務司法書士
一部の司法書士は、独立しないで勤務司法書士を続けます。独立しない主なパターンとしては、適性がないと自分で判断した場合や、大きな事務所で働くことに魅力を感じている場合などが挙げられます。大きな司法書士法人の中には昇給システムがしっかりしているところもあり、そのような場所で働き続けることで、サラリーマンとして安定した生活を送ることができます。

3 独立司法書士の現実

ここからは、独立司法書士の現実について詳しくご紹介します。独立司法書士の現実は厳しくなる一方だともいわれていますが、統計をみるとそうとも限りません。独立司法書士を取り巻く環境は、今からおよそ10年前までは厳しさが増していたものの、近年は厳しさが緩和しているといえるでしょう。

① 独立司法書士の仕事の構成
司法書士の主な業務は、不動産登記、会社登記、成年後見、相続・遺言、債務整理、裁判関連です。独立司法書士は、これらのどの業務が主な収入に繋がっているのでしょうか。残念ながらこの問いに直接答える統計はありませんが、体験談でよく目にするのは、最初の3つ、つまり不動産登記、会社登記、成年後見です。不動産会社や銀行から、不動産登記の紹介先として指定されると、安定的な収入源を確保できます。会社のM&Aなどに強みがあれば会社登記、地域社会に密着するのであれば成年後見や相続・遺言などを主力として、事務所を経営することができます。

② 独立司法書士の年収はバラバラ
独立司法書士の年収はバラバラです。「平成26(2014)年度司法書士実態調査集計結果」のアンケートによると、2010年の司法書士の年収は男性の16.6%、女性の10.8%が1,000万円以上ですが、男性の25.8%、女性の40.5%が200万円未満となっています。司法書士の仕事は定型的なものが大半ですが、それでも経営手腕や経営環境によって年収に大きなバラツキがでています。

③ 司法書士は年齢が高め
司法書士は年齢が高めな職業です。「司法書士白書2019年版」によると、2018年4月1日現在の登録司法書士数は22,488人です。そのうち男性が82.8%、女性が17.2%です。平均年齢は53.2歳であり、年 代 は 40 歳 代 が 29.7%と最も多く、60 歳代 18.4 % 、30 歳代 17.4%の順となっています。

④ 都市部に集まる司法書士
医師や弁護士が都市部に集まりすぎることがしばしば問題となっていますが、司法書士も例外ではありません。「司法書士白書2019年版」で司法書士会別司法書士数の推移をみてみると、最近の10年間での会員数は、東京都138.3%、神奈川県132.3%、愛知県122.6%といった具合に、大都市を抱える地域で伸びています。

⑤ 司法書士に合格する年齢と独立する年齢
法務省の発表によると、2020年度の司法書士試験の合格者の平均年齢は53.4歳でした。高い年齢層でも合格者が多く、合格者の最高年齢は98歳でした。司法書士白書2015年版によると、司法試験に合格してから5年以内に独立する司法書士が多いので、40代後半になってから独立する司法書士もかなり多いと考えられます。

⑥ 司法書士の開廃業数
司法書士の開業数、廃業数についての統計はないようです。そこで、開業数の代わりに司法書士会への新規登録者数、廃業数の代わりに業務を廃止した会員数の統計をみてみましょう。最近の25年間をみると、新規登録者数は1993年度に500人前後だったのが2010年度に約1,200人にまで増えた後、2017年度に800人前後にまで減少しました。業務廃止者数も1993年度に200人前後だったのが2008年度に約550人にまで増えた後、2017年度に470人前後にまで減少しました。業務廃止者数を会員数で割った廃業率は、1993年度に約1.3%だったのが2005年度に約3.2%にまで上昇した後、2017年度に約2.1%にまで減少しました。

2 司法書士の仕事の将来性

社会のIT化や人口減少が進む中、司法書士という仕事に将来性はあるのでしょうか。司法書士は、法治国家を成り立たせる上で重要な役割を果たしてきました。その役割が急になくなることはないでしょう。法律職としての役割を果たしつつ、司法改革、IT化、高齢化などによって開かれたチャンスを積極的に活用しようとする姿勢が、司法書士の未来を開いていくと考えられます。

1 司法書士の歴史

司法書士の歴史は、明治維新とともに始まります。明治新政府が法治国家を確立する中で、1872年(明治5年)に代言人・代書人・証書人制度が誕生します。この中の代書人が現在の司法書士にあたります。ちなみに代言人は弁護士、証書人は公証人です。戦後の新憲法のもとで成立した新司法書士法は、司法書士の官からの独立を明確にしたものです。今では当たり前になっている司法書士試験は、1978年(昭和53年)と、かなり時代が進んでから導入されました。

2 2000年代の司法書士業界の変化

今世紀に始まった司法制度改革は、司法書士会にも大きな影響を及ぼしました。司法書士の業務として簡易裁判所での代理権が認められたこと、司法書士法人の設立が認められたことにより、司法書士の業務や働き方の選択肢が広がりました。インターネット広告の自由化や、報酬の自由化により、司法書士業界も本格的な競争の時代に入りました。
今世紀の日本社会全体の変化の中で特に顕著なものは、人口の高齢化と社会全体のIT化が急速に進んでいることです。この2つの変化は、司法書士業界に対しても、主力業務である不動産登記と会社登記の減少や、成年後見や相続・遺言業務の増加という形で影響を及ぼしています。

3 現在の司法書士

現在の司法書士界は、これまでの主力業務であった不動産登記や会社登記に加えて、債務整理、相続・遺言、成年後見など、一般の顧客と直接関わる業務への進出を強めています。さらに、大型の司法書士事務所や合同事務所を設立して、効率性を追求するとともに、M&Aに関するコンサルティングを強めることなどで、差別化をテコに拡大してく動きもみられます。

4 司法書士の将来性

登記件数の減少は、司法書士の将来に暗い影を落としています。しかし、法治国家の支えとなる登記がなくなることはなく、長期的には何らかの均衡状態に収束していくことでしょう。収益性が高い登記業務で一定の収入を確保しつつ、成年後見やコンサルティングにも業務範囲を拡大するスタイル、成年後見に特化して地域に密着するスタイル、コンサルティングを主力とする合同会社を設立するスタイルなど、自分のスタイルを確立できた司法書士にとって、未来は明るいものとなっていくと考えられます。

3 まとめ

独立司法書士は勤務司法書士より年収が高いものの、そのバラツキは小さくありません。独立司法書士は、登記業務を主力とする人が多く、合格年齢、独立年齢、平均年齢がいずれも高いという特徴があります。社会の流れをよく読んで、自分の周囲の環境に適応した司法書士事務所を経営できれば、高齢から独立した司法書士にも十分に成功するチャンスがあります。

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