司法書士の資格を目指して勉強中の人や、すでに合格して修行のために司法書士事務所で働いている方々の多くは、いつの日か自分も独立して事務所を構えたいと考えているのではないでしょうか。そうした人の中には、将来を思い描こうとしても、独立した後の生活がもう一つ具体的にイメージできない人もいることでしょう。この記事では、司法書士が成功した後の生活と、成功するためにするべきことについてご紹介します。
1 開業に成功した司法書士の生活
開業に成功した司法書士の生活は、一人一人まったく違います。成功した司法書士は、経営者としての余裕や自由を活用して、自分自身の価値観に合った生活を楽しんでいます。
1 成功の意味
司法書士が開業して成功するとはどのような状態を指すのでしょうか。経営的に成り立っていることは当然必要として、成功するとは、たくさんのお金を稼ぐことだけではないはずです。成功の意味は、司法書士一人一人の価値観によって変わります。
2 余裕がある
開業して成功した司法書士の中には、余裕があることをもっとも大きなメリットと考える人もいます。収入はそこまで高くなくとも、ワークライフバランスを実現し、子供を育てるために十分な時間を取れることに対して、満足感を覚えている司法書士は多いです。
3 自由である
経営者は自由です。どのように働くか、どのような仕事を受注するかなど、自分の好きなように選ぶことができます。経営がうまくいっている限り、誰にも文句を言われることなく、自分の信じた道を追求できることも、開業に成功してこそ可能なことです。
4 いろいろな成功の形
成功にはいろいろな意味があります。経営者として事務所を営みながら長距離マラソンに取り組んだり、地域の貧しい人々のために司法書士としての専門性を活用したり、地域の中小企業家を助けて感謝されることに喜びを見出すなど、開業した司法書士は、それぞれ自分に合った「成功」を享受しています。
2 開業前にするべきこと
開業して事務所を経営するようになれば、司法書士としての業務は活動の一部にすぎません。開業した司法書士は、経営者としてさまざまな人々と付き合いながら、事業を成り立たせていくことになります。人間としての力を高めることができれば、その魅力に惹かれて多くの人々が集まってくるでしょう。人間力を元に、開業に備えてネットワークを作っていくことが重要です。現代はウェブの時代です。時間があるときにウェブのスキルを身につけて、ホームページを自分で作成できるようになっておけば、開業するときに外注するコストを回避できます。
1 人間力をつける
人間力とは自分を理解してコントロールする力、他人を理解して共感する力、コミュニケーション能力、教養などから構成されます。誠実さ、感謝、思いやりの気持ち、読書などを心掛けつつ、いろいろな場所に行き、いろいろな人と会い、自分の他人の気持ちを深く理解するように努めていけば、人間力は徐々に高まっていきます。できるだけ早い時期から人間力を高める取り組みを始めましょう。
2 ネットワークをつくる
人的ネットワークは、司法書士が開業を成功させるうえで最も重要な要素です。開業後に本格的にネットワーキングに取り組むこと司法書士が多いのですが、開業前にできることもたくさんあります。司法書士試験合格後のさまざまな研修は、同期とのネットワークを作る絶好の機会です。その中にある配属研修は、先輩の司法書士とご縁を作る良い機会であり、そのご縁が後に就職につながったり、事務所の受け継ぎにつながったりすることがあります。就職した司法書士事務所での人間関係もまた、将来的の貴重な財産です。
3 ウェブのスキルを身につける
司法書士に限らずどんな事業でもホームページがあるのが当たり前の時代です。相続などで司法書士の力を借りたいと思った顧客は、電話帳ではなく、インターネットで近くの司法書士事務所を検索することでしょう。ホームページがなければ、そうした集客の機会を自ら放棄することになります。無料の作成ツールを使えば、それほどの勉強をしなくても、簡単にホームページを作ることができます。時間があるときにこうしたツールの使い方を勉強したり、SEOについて勉強したりしておけば、開業後にウェブから集客できるようになります。
3 開業後にするべきこと
司法書士が開業後にするべきことは、業務をこなすことだけではありません。開業した司法書士は、司法書士であると同時に1人の経営者でもあります。経営者にとって一番大事な仕事は顧客を獲得することです。司法書士の場合、士業の仲間に入り、関連業界と付き合うことで人脈を築くことが一番重要です。インターネットを有効に使うことができれば、ウェブサイトによって一般顧客を捕まえることができます。
1 士業仲間に入る
税理士、土地家屋調査士、弁護士、行政書士といった関連士業の仲間に入ることは、司法書士事務所の経営にとって非常に重要です。このことを、司法書士の業務の一つに会社設立登記を例に説明しましょう。会社を設立したい社長は、税務の面倒を見てもらうために、税理士事務所と契約するでしょう。税理士事務所が、会社設立登記のために司法書士を紹介することがよくあります。また、士業が仲間同士で仕事を紹介しあうこともよくあります。士業仲間に入るためには、異業種交流会や勉強会に出るのがよいでしょう。
2 関連業界とつきあう・営業する
金融業や不動産業が、司法書士にとっての関連業界です。司法書士の主な仕事は土地や建物登記に関連する仕事です。住宅を購入したり借りたりするために、不動産業者や銀行を訪れた顧客が、土地や建物を登記するために、司法書士を紹介されるのが定番の流れです。銀行や不動産業者には通常指定の司法書士がいるので、食い込むのは難しいのですが、訪問を繰り返して丁寧な営業活動を行えば可能性はあります。一度指定を受ければ、継続的な収入源を確保できます。
3 地域に溶け込む
司法書士は地域に溶け込む努力も欠かしてはなりません。成年後見や相続・遺言の仕事は、高齢化が進む中、司法書士にとって今後有望な分野です。この分野では、多くの場合エンドユーザーである顧客が紹介を経ずに自ら仕事を依頼します。地域に溶け込む努力を重ねて自分や事務所を知ってもらうことができれば、多くの人が事務所を訪れてくれるでしょう。夏祭りその他のイベントに参加したり、無料相談会に出席したり、無料セミナーの講師を務めたりすることで、事務所がある地域に溶け込む努力を重ねましょう。
保護者会や地域の清掃活動、ご近所づきあいが意外に顧客獲得につながることがあります。司法書士という仕事はあまり知られていないので、自己紹介が仕事の紹介になります。
4 ホームページとブログを開設する
開業したらできるだけ早くホームページとブログを開設しましょう。顧客がホームページを見れば、事務所や事務所代表者、取り扱い業務とその料金がわかるようにします。ホームページには問い合わせフォームも必須です。取り扱い業務と料金について詳しく説明することは、顧客に安心感を与える意味でも、検索流入のチャネルを増やす意味でも重要です。また、ブログやSNSは顧客との心理的な距離を縮める手段です。顧客に親しみを持ってもらうために、生活実感のあるカジュアルな記事を継続的に投稿するのがおすすめです。
ブログの使い方としてはもう一つ、顧客に利便性を提供するコンテンツになるように、司法関係のさまざまな知識についてコラムを投稿する方法もあります。この方法は、オウンドメディアの方法に近く、プル型の営業手段として非常に強力です。
また都市部など競争が激しい駅周辺や地域では、SEOが特に重要とされます。もし専門分野が決まっていたり、ネット検索での顧客獲得が大きな割合で重要視されるようなら、専門業者にサイト構築を依頼することも戦略として必要になるでしょう。
4 まとめ
開業を目指す司法書士は、リッチになること以外にも、余裕のある生活や、自由な経営判断など、さまざまな目的の実現を目指しています。この記事が、自分の価値観にあった目標を定め、目標を実現するためのヒントになれば幸いです。