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司法書士の独立は厳しい?独立司法書士の現状と失敗する要因をご紹介

司法書士は少ない費用で開業できる資格として知られています。しかし開業費用が少ないからと言って簡単に独立できるわけではありません。独立司法書士、現状と失敗する要因、成功するためのマインドセットをご紹介します。

1 独立司法書士の現状

独立司法書士は毎年増え続けています。近年の動向としては、毎年900人程度が新たに司法書士として登録していますが、600人程度は登録を取り消しています。登録取り消しのうち500人程度は業務停止、つまり廃業です。

独立司法書士の平均年収は600万円前後です。収入の個人差は大きく、年間1,000万円以上稼ぐ司法書士が全体の1割以上を占める一方で、半数程度の司法書士の年間所得は500万円未満です。

司法書士の主たる仕事である不動産登記の件数は最近10年間で約3割減りました。都市部では大規模司法書士法人が台頭しているため、独立開業の条件が厳しくなっています。

2 司法書士が独立に失敗する要因

インターネットの発展や制度改革、人口減少などの経営環境の変化により、司法書士が独立開業するハードルは以前よりも高くなっています。しかし、現在でも独立した司法書士がみな廃業に追い込まれているわけではありません。それほど稼げないものの、営業を続ける事務所は多く、1千万円以上の年収を稼ぎ、独立に成功したと言えるケースもあります。なにが独立の成否を分けるのでしょうか?司法書士が独立に失敗する要因を分析してみましょう。

1 実務能力に欠けていた

実務能力は独立して成功するための前提条件です。ミスをすると損害賠償を請求されることもあります。顧客はさまざまな用件で司法書士に仕事を依頼します。司法書士に対する世間一般のイメージは、「法律関係の複雑な書類を正確に作成してくれる人」です。ミスをすると顧客の期待を裏切ることになります。ミスをすると、顧客がもう一度仕事を依頼する、ほかの顧客を紹介するといった、仕事を受注するための基本的なサイクルが回りません。

司法書士試験に合格して、既定の研修を済ませただけでは、十分な実務能力があるとはいえません。合格後即開業して成功する例はたしかにあります。しかし、数年間勤務経験を積んで実務に精通してからの独立するのが定石です。

2 人脈がなかった

実務能力は司法書士として独立するために必要な条件のうちの1つにすぎません。独立すれば実務以外の仕事を自分でこなさなければなりません。1つは仕事を受注することであり、もう1つは事務所を経営管理することです。

司法書士の場合、不動産売買に関連して発生する登記案件のように、同業者、関連士業、銀行、不動産業者などからの紹介で、仕事を受注する場合が多いです。独立後、資金が尽きる前に人脈を作れなければ、廃業に追い込まれる可能性が高いでしょう。

3 営業スキルがなかった

司法書士事務所を開業しても、すぐに仕事が来るわけではありません。開業しただけでは、ほとんどの人は開業したことも知らなければ、自分にとってどのように役に立つのかも知りません。多くの場合、開業してからしばらくの間は、実務よりも営業に時間を割くことになります。銀行や不動産業者に対する営業、関連士業に対する営業、地域の人々に対する営業、ウェブを使った営業など、自分にあった営業スタイルを見つけて、成果を出さなければなりません

4 マーケティングが不十分だった

司法書士として独立開業した後の顧客は、事務所周辺の企業や個人がほとんどです。そのため開業する前に、地域の特性を調べ、事業が成り立つかどうかを判断する必要があります。調査のポイントはどのような顧客がいるか、競合する司法書士事務所があるか、そうした状況の中でどのような事業を展開するべきか、なにをアピールするべきか、です。そうした分析を終えたら、どうやって事務所のアピールポイントを地域の人々に知ってもらうかを考えます。

5 事業計画が杜撰だった

独立開業は複雑な作業です。さまざまな作業を連携して行う必要があるので、事前に計画を練っておかないと、思わぬところに穴が見つかったり、無駄な出費が出てしまったりします。司法書士事務所は少ない費用で開業できますが、開業後に事務所から収入が上がるまでの期間の資金が必要なので、それほど少ない資金で開業できるわけではありません。開業計画がなかったり、あっても杜撰だったりすれば、資金不足に陥って廃業に追い込まれる可能性が高まります。

6 差別化できなかった

差別化とは、たくさんの競合司法書士事務所の中で埋没しないための工夫です。とくに都市部で開業する場合、差別化について考える必要があります。差別化については関連士業との競争も考える必要があります。たとえば「相続」は、司法書士事務所だけではなく、税理士事務所とも競争することになります。ただし、税理士事務所など関連士業とは、仕事の一部をお互いに斡旋しあう関係を築くことも重要です。

3 司法書士が独立に成功するためのマインドセット

司法書士として独立して成功するためには、上に述べたような失敗パターンに陥らないように工夫する必要があります。実務能力が前提となりますが、開業準備段階と開業後に、地域の状況を調査して、強みを考えたうえで計画的に開業し、人脈形成や営業活動に励めば成功しやすくなります。そのような個別の課題も重要なのですが、経営者として成功するためのマインドセットを身に着けることも重要です。司法書士として独立に成功するためのマインドセットをご紹介します。

1  失敗を恐れずに試行錯誤を続ける

経営とは、答えのない問題に挑み続けることです。開業当初は、事業が成功する見込みが確実に立つことはほとんどありません。なにがうまくいくのかがわからないので、いろいろなことを試してみるしかありません。試行錯誤とは、いろいろなことを試して、うまくいったものは継続・改善し、うまくいかなかったものは止めたり、工夫してもう一度トライしたりする営みです。試行錯誤を続けるためには、自分と世の中をよく観察してうまくいきそうなアイデアを考え出す力と、さまざまな方法を試す行動力が必要です。たくさんの失敗を重ねる中で、1つのうまくいく方法を見出すことができれば、経営としては十分です。成功するためには失敗を恐れずに試行錯誤を続ける行動力が求められます。

2  ポジティブシンキング

成功するためには、たくさんの失敗の中から1つの成功を見つけ出すことが必要です。1つの失敗で心に大きなダメージを受けてしまうと、たくさんの試行錯誤ができなくなるので非常に不利です。失敗したり、なにか事件が発生したりしたときに、あまりマイナス思考に陥らずに、学べる側面や、プラスの側面に焦点をあてる姿勢が「ポジティブシンキング」です。常日頃からプラスの側面に目を向ける、プラス思考な仲間を作る、生活の中に楽しいことや、ワクワクすることを取り入れるなどの工夫により、少しずつポジティブシンキングする力を高めていくことができます。

3 投資マインド

経営者としてのマインドセットを作るうえで、投資志向も非常に重要です。経営するうえでは、費用を切り詰めることばかり考えるのは大きな誤りです。チラシの作成、ウェブサイトの開設、司法書士専用の業務システムの導入など、将来のリターンを見積もりつつ事前にお金を使う考え方を欠かすことはできません。

・自分への投資

将来への投資の中でも、もっとも大きなリターンが見込めるのは、自分自身への投資です。最新知識を得るためにセミナーに参加すること、人脈資産を作るために会合に参加することなど、自分に対して投資する機会はたくさんあります。自腹で経費を負担して積極的にそうした機会を活用していく考え方は、経営者として成功するためには必須です。

4 司法書士が独立に失敗したら

努力むなしく独立に失敗した場合どうすればよいのでしょうか?一度独立した司法書士が司法書士事務所に再就職するのは難しいと言われています。再就職先としては、一般企業の事務職や営業事務職や不動産業界が考えられます。これらの転職先では、司法書士が得意とする正確な書類作成や、不動産登記に関する知識を活かすことができます。

5 まとめ

以上、司法書士の独立について、厳しい現状、独立に失敗する要因、成功するためのマインドセットについてご紹介しました。独立には向き不向きがあります。しかし、前向きな気持ちで取り組めている限り、独立をあきらめる必要はありません。ポジティブシンキングができれば未来が開ける可能性があります。

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